革が重なる部分の厚みを抑えるために、革を漉くことが必要になる場面があります。この記事では、レザークラフトにおける革の漉き方について、効果的な手順とポイントについて写真付きで詳しく解説します。
最後には漉き方ごとに必要な道具をまとめましたので、道具を確認したい方はこちらをご覧ください
革を漉く道具の一覧表はこちら(ページ内リンク)
革漉きの種類
斜め漉き
平漉き(段漉き)
中漉き(中おとし)
ベタ漉き
革漉きに使用する道具
革漉きは用途によって様々な道具があります。すべての道具を用意する必要はないので、仕上げたいイメージに応じて必要な道具を用意してください。ここではまず一通りの道具を紹介いたします。それぞれの用途はこちらをご覧ください
革を漉く道具の一覧表はこちら(ページ内リンク)
革包丁
革包丁はシンプルさゆえに非常に汎用的な道具であり、革を裁断するだけでなく革を漉くときにも使用されます。ベタ漉き以外の漉きであれば革包丁で行うことができるので、初心者の方はひとまず革包丁を用意すれば一通りのレザー作品を作ることができます。
中級者以上の方で同じ型紙から複数の作品を量産する際などは、漉きに特化した道具を使用すると大幅に手間を減らすことができるためオススメです。
フレンチエッジャー
フレンチエッジャーは一定の幅で漉くことができる道具で、漉く部分の境界がはっきりしているため中漉きや段漉きに適しています。慣れてくれば斜め漉きに使用することもできます。革包丁とフレンチエッジャーを組み合わせれば、ベタ漉き以外の漉きを精度よく行うことができるので初心者の方も持っておいても良いかもしれません。
使用する道具
・フレンチエッジャー
豆カンナ
豆カンナは文字通り小サイズのカンナで、広範囲を漉く必要のあるベタ漉きに適しています。場合によっては、幅の広い斜め漉きにも適正があります。一方で漉く部分の境界をコントロールしづらいため、中漉きや段漉きには向きません。
使用する道具
・豆カンナ
スカイバー
スカイバーは “漉くもの” (skive:漉く) という文字の通り、漉きに特化した道具です。T字のカミソリのような使い心地である程度の幅を一度に漉くことができます。漉きの面積は広めですが境界はコントロールしづらいため斜め漉きやベタ漉き向きの道具です。漉き始める際に刃を革にいれるのにコツがいりますが、慣れてしまえば使い勝手よく漉くことができます。T字カミソリと同様に切れ味が落ちたら刃の交換ができるため、作る作品数の多い中級者以上の方にオススメです。
使用する道具
・スカイバー
ベベラー
ベベラーはスカイバーに似ていますが刃がカーブしているのが特徴です。このカーブによりスカイバーよりも漉き始めの刃入れがしやすい上に、刃がむき出しでなく安全性も高いため、初心者の方でも使いやすくオススメです。ベベラーもスカイバーと同様に斜め漉きやベタ漉きに向いている道具です。
使用する道具
・ベベラー
電動サンダー
電動サンダーは広範囲をやすりがけするために使われる道具です。「(刃物で)漉く」という用途ではありませんが、広範囲を一定の厚みにできるためベタ漉きと同じ目的を果たすことができます。一方で刃物での漉きと比較して表面が荒くなるため、床面の処理などが必要になります。やすりに対して革を斜めに当てれば斜め漉きと同様の効果は得られますが、よほど広範囲でない限り斜め漉きには他の道具がオススメです。
使用する道具
・電動サンダー
手順
準備
革の漉きを行う前に、適切な準備を行いましょう。まず、漉く革を選びます。一般的に、漉き作業には柔らかい革が適しています。また、漉きに使用する道具としては、漉き刀や漉き機が一般的です。必要に応じて、革を保護するためのマスキングテープやクリアファイルなども用意します。
革の固定
漉き作業を行う前に、革を適切に固定することが重要です。革を滑りにくい台やワークベンチに固定し、動きやずれを防止します。マスキングテープやクリアファイルを使って革を固定する方法や、専用のクランプやホールドダウンツールを利用する方法など、さまざまな方法があります。選んだ方法に従って、革をしっかりと固定しましょう。
漉きの方向と角度
革の漉きは、特定の方向と角度で行う必要があります。一般的に、革の繊維に対して垂直に漉くことが望ましいです。これにより、革の柔軟性や強度が損なわれず、均一な厚さを実現することができます。漉き刀や漉き機を使って、革の表面に対して垂直に切り込みを入れるようにしましょう。また、革の厚さによって角度を調整することも重要です。厚い革の場合は、刃を少し浅めに設定して漉くことが推奨されます。
均一な漉きのための繰り返し
漉き作業は一度で完了するものではありません。均一な厚さを実現するためには、漉きを繰り返し行う必要があります。革の表面全体に対して均等に漉きを行い、厚さの差を均一化します。慎重に作業を進め、適度な力で革に切り込みを入れることが重要です。刃の深さや角度を調整しながら、必要な箇所を漉き進めましょう。
漉きの均一性の確認
漉き作業を進めながら、漉かれた部分の均一性を確認しましょう。特に厚みのある部分や曲線部など、革の厚さが一定でない箇所に注意を払います。必要に応じて、さらなる漉きを行って均一性を高めることができます。
仕上げ
漉き作業が終わったら、仕上げを行いましょう。革の表面にできたバリやゴミを取り除き、滑らかな仕上がりを実現します。また、革の裏側にも注意を払い、必要に応じて仕上げを行います。
革を漉く道具の一覧表
↓漉き方 / 道具→ | 革包丁 | フレンチエッジャー | 豆カンナ | スカイバー | ベベラー | 電動サンダー | |
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① | 斜め漉き | 〇 | △ | △ | 〇 | 〇 | △ |
② | 平漉き(段漉き) | 〇 | 〇 | × | △ | △ | × |
③ | 中漉き(中おとし) | △ | 〇 | × | △ | △ | × |
④ | ベタ漉き | × | × | 〇 | △ | △ | 〇 |
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